高齢者のドライマウス
高齢者の方のドライマウスは、唾液による自浄効果が低下して、中には舌カンジダ症が発症していることもあります。治療では保湿剤を使って口腔内を湿潤化させたうえで、食事前後のブラッシングと舌苔の除去が必要です。合わせて、治療に加えて水分摂取を増やすような指導も加えます。
緑茶・コーヒー・紅茶はカフェインを多く含むため利尿を促し、脱水症状の改善には不向きであることも伝えることが必要と思います。また、水分をしっかり摂っていりと云う人でも、朝・昼・晩の食後に湯飲み茶碗一杯ずつと云う例も珍しくありません。夜中にトイレに行くのが面倒だからと云う理由で水分を控える人もいます。
摂取する水分を少なくすると尿生産量が減って、膀胱がどんどん縮んでしまい、わずかな量の尿が溜まるだけで尿意を催すなど悪循環に陥ります。従って、外来患者様がドライマウスだった時には、直接、嚥下障害に関係なくても「お水でむせませんか?」「ご飯を飲み込むときにむせませんか?」と聞き、水分摂取量とその内容をチェックすべきと考えます。
歯科医院における摂食嚥下障害の予防策としてもう一つ、高齢者の患者さんがデイサービスの利用を始める際、また入院したなどの際には、必ず連絡をするように依頼しておくことを忘れないようにしたいです。なぜ連絡が必要なのか、その理由もきちんと本人とご家族に伝えておきます。
それは、入所・入院では口腔ケアが不十分になりがちで、プラークが原因の肺炎にかかりやすいと云うこと。その結果、入院期間が延びたり、重篤な状態になることも考えられる事などです。ご家族から連絡が入ったら、まずは入所・入院先に出向き、安全な嚥下姿勢をとって口腔内をチェックし、ケアを行います。できれば定期的な往診も行えると良いと思います。
病院の看護師さんにも同席いただき、安全な嚥下姿勢などを知ってもらうことも必要です。病院内に歯科がある場合には、保険制度上、もとの主治医が訪問できない場合もあります。患者様の口腔状態や嚥下について情報を提供し、必要なら患者様のご家族経由で協力を依頼します。これを実現するには、患者様が入院した医科との連携はもちろんの事、病院内歯科との連携も必要です。
前述した、患者さんがむせるようになってきた場合の質問項目を入所・入院の施設スタッフと共有する事は、連携にうえでも大切な事です。スムーズな連携はなかなか難しい面もあり、この点は今後の課題であると思っています。
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