歯周病とメタボリックシンドローム指標の陽性化は関連
メタボリックシンドローム指標(肥満、血圧、脂質、血糖値)が全て基準値内と判定された人の、4年後の健診結果を追跡調査し、初回健診での歯周病の有無(歯周ポケット有無で判定)と、4年後のメタボリックシンドローム発症との関連性についての調査があるのでお伝えしたいと思います。
4年後にメタボリックシンドローム指標が2つ以上陽性化した人の割合は、初回健診で歯周ポケット有の人が有意に高く、また、4年後に「血圧」「脂質」の検査結果が陽性になる割合も、初回健診で歯周ポケット有の人が有意に高くなることが認められました。これにより「歯周病」と「メタボリックシンドローム指標の陽性化」には関連があることが明らかになりました。
具体的内容としては、初回健診でメタボリックシンドローム指標(肥満、血圧、脂質、血糖値)がいずれも基準値内の有職男女1.023名(男性727名、女性296名)を対象者としたもので、歯周ポケット有無でグループ分けし、それぞれメタボリックシンドローム指標4項目の4年後の変化を解析したものでした。
4年後の健診でメタボリックシンドローム指標が1項目以上該当する人の割合は、初回健診で歯周ポケット有グループが無グループより高く、特に2項目以上該当する人は歯周ポケット有のグループが有意に高いことが認められました。
対象者の初回健診で「歯周ポケット有」は全体の20.0%。4年後の健診でメタボリックシンドローム指標が全て基準値内の人は77.0%、1項目該当者は18.2%、2項目該当者は4.0%、3項目該当者は0.8%、全項目該当者は0でした。
また、メタボリックシンドローム指標別に、4年後に陽性化したと判定されたのは、血圧(高血圧)13.7%、肥満7.1%、脂質(異常)6.7%、血糖値(高血糖)1.0%でしたが、いずれの項目でも歯周ポケット有のグループの方が該当者の割合が高い傾向を示しており、特に高血圧と脂質異常の2項目においては、有意に高いことが確認されました。
この結果から、歯周ポケット保有者はメタボリックシンドローム指標が陽性になるリスクが高く、特に高血圧、脂質異常になるリスクが高いことがわかりました。近年、歯周病患者と心臓血管障害(心筋梗塞など)との関連が指摘され、新聞報道やテレビなどでも放送される機会が以前より増えてきていますが、歯周病の改善から糖尿病の改善がみられているケースも報告されています。
これからは、綜合的(全身的)健康診断が、生活習慣病予防と治療に必要かと思います。
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