唾液は再石灰化しやすい環境を作る
歯石が歯の表面につくことを経験された方は多いのではないでしょうか。この歯石は唾液中のカルシュウムイオンとリン酸イオンが結合してできたリン酸カルシュウムです。
その生成メカニズムは実は現在でもはっきりとわかっていないのですが、プラーク中の細菌が出すタンパク分解酵素が唾液中のリンタンパク質を分解して、カルシュウムイオンとリン酸イオンの結合が始まると云う説が有力です。実際にプラークがあるところに歯石ができることから納得できる説と思います。ここでもリンタンパク質がキーとなっています。
また、細菌の活力が低下すると体内で石灰化を起こし、歯石を生む細菌も発見されています。歯石ができる環境を作らないために、カルシュウムイオンと親和性の高い物質を外から供給するのも一つの方法です。例えば、歯磨剤に配合されているピロリ酸塩やポリリン酸塩もその一つです。
再石灰化では、アパタイト(ハイドロオキシアパタイト)の材料であるミネラルイオンが唾液から供給されています。しかも、これらのイオンは唾液中では通常溶ける量より多い“過飽和”と云う状態で、非常にたくさん存在しています。この過飽和で存在することができるのも、唾液中にリンタンパク質が存在し、それがミネラルイオン同士の結合を阻害しているからなのです。
唾液は、その他に口腔内を中性に戻し再石灰化しやすい環境を作ったり、歯の表面や粘膜表面にフィルムを作って保護するなど、多彩な機能を持っています。ですから、薬の服用などで唾液の分泌量が減少すると、再石灰化がしにくくなり、ウ蝕になりやすい環境になります。
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