大人の口腔ケアへのフッ化物利用
虫歯予防として、フッ化物応用がありますがその対象は、乳歯や萌出したばかりの永久歯ばどエナメル質う蝕になりやすい子どもが中心でした。
一方、最近では、4人に1人が65歳以上の高齢者で、それぞれ自分の歯の保有本数も増加しています。その結果、歯周病患者数も増加し、その治療により歯肉が引き締まることで、根面が露出してしまう患者さんが増加してきていることも確かです。
そのために、根面う蝕対策が新たな課題となっています。ここで見直したいのが大人の口腔ケアへのフッ化物の利用です。
う蝕治療(虫歯治療)後のセルフケアにフッ化物配合の歯磨きを使用することで、歯と人工物の隙間に住み着いた菌の活動を抑え、脱灰後の再石灰化を促進することが期待できます。定期的な歯科医院でのプロケアと組み合わせることで、二次う蝕の危険性を大幅に減らすことができます。
日本ではおとなへのフッ化物の応用例は決して多くありません。それは、フッ化物がまず子どもを対象にスタートしたと云う歴史があるからです。
1968(昭和43)年に当時の厚生省医務局歯科衛生課が発行した冊子「弗化物溶液の洗口法よるむし歯予防」では、う蝕予防にフッ素の利用が有効であることを認め、歯磨剤へのフッ化物添加が望ましいとしているものの、その対象は「子ども」でした。
歳月が流れ、2003(平成15)年に厚生労働省医政局長・健康局長連名で都道府県知事宛ての送られた「フッ化物洗口ガイドライン」では、洗口によるフッ化物応用は4歳から老人までに適応されると云う記述が登場し「成人の歯頸部う蝕や根面う蝕の予防にも効果がある」と記されました。
スーパーやドラッグストアーの歯ブラシコーナーを見てみると、国内外の多種多様な歯磨きが並んでいます。フッ化物応用の歯磨き剤で磨いていれば、虫歯になることを100%防ぐことが出来ると云う事ではありませんが、外観よりもその本質であり、原点でもある虫歯予防に今一度目を向けて見ては如何でしょうか。
そのためにも、かかりつけの歯科医を持つ事は大変意味がある事だと思います。
▶ 当院の虫歯治療
▶ 歯科ダイアリー目次 一覧
▶ HOME